これは、平凡な学生だった僕が、
E判定から京大に合格するまでの経緯を
ストーリー調に振り返ったものです。
第14話「合格後の新しい世界」
大学入学後は、高校時代とは違って、
いろんなことに挑戦した。
高校時代は断念した原付免許だったけど、
入学後は普通車の運転免許を取ってみた。
友人たちとレンタカーで車を借りて、
運転を交代しながら旅行に行った。
まあ、最近はもっぱら運転しないので、
ペーパードライバーになってしまったけれど。
ちなみに、余談なのだけど、
和歌山県の白浜まで
車で遊びに行ったことがある。
ふつう、白浜といえばパンダのいる
アドベンチャーワールドが有名なんだけど
個人的には、京都大学白浜水族館という、
京大が運営する水族館が一番面白かった。
ただ、この水族館は、
一般向けのものとは一味違っている。
というのも、
全く動かないフジツボだけの展示や、
ウニ・ナマコ・ヒトデが
実は同じ仲間であることの解説だとか、
そういった、ものすごーく地味な
無脊椎動物に特化した水族館なのだ。
だから、水族館にイルカやペンギンを
見にくる人(特に子ども)からすれば、
きっとマニアックすぎて退屈すると思う。
でも、内容自体はかなり面白いので、
普通の水族館に飽きた人はぜひとも行ってほしい。
京大生なら、学生証を見せるとタダで入れる。
もう一つ高校時代に断念していた
バンド演奏についても挑戦してみた。
京大では、毎年11月祭という
文化祭のようなイベントがあるのだけど、
夏休み直前の7月頃になって、
その学祭の一番大きい特設ステージで
演奏するバンドが10組ほど募集されていた。
で、その募集を見たときに偶然、
楽器の弾ける人が数人集まっていたから
その場のノリで面白そうだと盛り上がり、
ダメ元で申請してみると、
意外なことに通ってしまった。
オリジナルの楽曲を演奏するような
レベルの高い本格的な人たちもたくさんいた。
そんな中で、僕たちは、といえば、
即席で作ったコピーバンドだったし、
お世辞にも上手な演奏とは言えなかっただろう。
ただ、一生懸命やれば見てる側の人も
意外と喜んでくれることもわかった。
少し強引に誘ったメンバーもいたけれど、
全員に「やってよかった」と言ってもらえて嬉しかった。
僕もそう思った。
その他には、友人たち3人ほどで集まり、
「青春18きっぷ」を利用して京都から一日で
どこまで行けるか試したこともあった。
ちなみに、「青春18きっぷ」を
知らない人のために説明しておくと、
日本全国のJR線の普通列車に
自由に乗り降りできるきっぷのことだ。
名前に”18”とついてるけれど、
年齢にかかわらず誰でも(オジサンでも)
買って使える切符のことである。
最初こそ、東北まで行ってやろうなんて、
軽い気持ちで考えていたけれど、
座っていると腰が痛くなるし、
ずっと立ってるのもツラいし、
話すこともなくなって飽きてくるしで、
結局、東京で旅の終わりを迎えてしまった。
何よりも驚いたのは、
静岡が長すぎるということである。
いま調べてみたら、どうやら、
静岡を抜けるだけで2時間半かかるみたいだ。
とにかく、実際に乗ってるときは、
日本の半分が静岡じゃないかと錯覚するくらいだった。
(やっぱり、それは言いすぎかな…)
いろんなところに社会見学にも行った。
その中の一つとして、
福井県の美浜原発まで行ったことがある。
普段なら、そんなところは
ゼッタイに入れないのだけれど、
震災の影響で原発が停止しているのと、
教授が引率してくれるということで、
特別に見学することができた。
美浜発電所がある場所は、
ちょうど陸の孤島になっていて、
橋を渡らないと入れないような構造になっている。
これはテロ対策とかのためらしいけど、
そのために外から見る様子は
何とも言えない物々しい雰囲気になっていた。
現地につくなり施設についての説明と
見学に当たっての注意と本人確認をされた。
そして、内部を見学する前には被爆防止のため、
下着以外は全て防護服に着替えさせられ、
胸には線量カウンターをつけられた。
発電所内部では、
使用済み燃料が保管されるプールや、
見たことがないくらい分厚いコンクリートで
作られた原子炉格納容器とその内部など、
いろいろ見せてもらえた。
見学中は終始、まるで自分が
異世界にいるかのような気分だった。
その他にも、いろんな人との出会いがあった。
大学内には、研究者として学術誌に
論文をいくつも通すようなスゴイ人もいる。
ただ、僕の中で特に印象に残っているのは、
大学の外で出会った、ある経営者の方だ。
その人は京大出身で、大学を卒業後、
20代のうちから起業して成功を収め、
現在では社員を雇って会社を経営している。
古本をネット上に流通させる仕組みを作って、
たった20万円だった資金を
1年で1億円にまで拡大させたのだそうだ。
その話だけでもビックリしたのだけど、
それよりも雰囲気というか
外見上のカッコよさに驚いた。
「社長」というと、それまで自分の中では、
小柄で背が低い白髪のお年寄りという
イメージがなんとなくあった。
でも、その人は、
若くて背の高い爽やかイケメンで、
僕の中の社長像とは全く違った。
話をするにしても、
学問的な世界しか知らなかった自分にとって、
知らないことばかりで衝撃を受けた。
そして、その他の出会いで言えば、
大学に入って恋人もできた。
照れくさいし、詳しくは書かないけれど。
とにかく、高校時代の僕は自信がなかった。
だからこそ、
「そんなことしてどうするの?」
「失敗したらどうしよう」
「ほんとに楽しいのかな…」
なんて頭の中で考えては、何も行動せずに、
毎日を狭い範囲の中で生きてきた。
でも、そんな僕が、
大学受験をきっかけに変わった。
こんな僕でも、正しい方法で
正しく努力を積み重ねていけば、
ちゃんと結果が出るんだということがわかった。
これは、僕にとって大きな自信になった。
「やればできる」
そのことに味をしめた自分は、
大学に入っていろんなことに挑戦してみた。
すると、自分の世界がどんどん広がっていく。
世の中には、自分の知らない世界や
楽しいこと・面白いことがたくさんあることを知った。
そして、行動すれば必ず新しい発見があって、
そのぶん人生が楽しくなることがわかった。
受験生時代は毎日の勉強や
プレッシャーで大変だったけど、
大きな成功体験と素晴らしい環境を
与えてくれた大学受験に今は感謝している。
・はじめに「E判定からの逆転合格ストーリー」
・第1話「忘れられないパス」
・第2話「ガラスのせいで授業ができない」
・第3話「衝撃を受けた合格体験記」
・第4話「数字の弱点見つけたり」
・第5話「同志との意外な出会い」
・第6話「世の中の間違った常識」
・第7話「人生最悪の夏休み」
・第8話「模試で心が折れかける」
・第9話「逆転合格の兆し」
・第10話「いざ二次試験へ」
・第11話「失敗しても、やり直せばいい」
・第12話「合格発表当日」
・第13話「キョウダイって、どんな漢字?」
・第14話「合格後の新しい世界」
・第15話「合格から成功体験を積んでいく」
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