忘れられないパス

これは、平凡な学生だった僕が、
E判定から京大に合格するまでの経緯を
ストーリー調に振り返ったものです。

 

第1話「忘れられないパス」

 

いま振り返ってみても、
高校時代の僕は残念なやつだった。

 

高校生といえば、
青春真っ只中のようなイメージがあるけれど、
そんなものと無縁の日々を送っていた。

 

 

当時の僕は、放課後、
家に帰ったら真っ先にテレビの前に座っていた。

 

毎日ゲームの中で、

巨大なモンスターを狩りに行ったり、
大量の敵兵の中へ突っ込んで無双したり、
あるいは、敵基地へ単独で潜入したり…

そんなことばかりしていた。

 

 

ゲームが飽きたら本を読んだ。

 

何がきっかけだったのか、
司馬遼太郎をよく読んでたと思う。

当然、本については、
友達と話が合わなかった。

 

 

とにかくそんなことをして、
毎日意味もなくダラダラと過ごした。

 

 

 

「文武両道の校風」というのを
掲げているせいか知らないけれど、

周りの友人たちの中には、
部活や勉強に打ち込む人が割りと多かった。

 

 

ただ、当時の僕からすると、
6時限もの授業を受けた後に、

運動や勉強で時間が拘束されるなんて
とても考えられないことだった。

 

そんなことするくらいなら、
家でダラダラ引き篭もっていたほうが
よっぽど気楽だと思っていた。

 

 

ただ、ときどき彼らが羨ましく思えた。

 

 

確かに、練習なんかは大変そうだった。

でも、何か打ち込めるものがあって、
同じ目標に向かって進む仲間がいる。

 

それがまさに、青春という感じがして、
なんとなく憧れた。

 

 

 

そんなわけで一度、
興味のあった科学部に入ったことがあった。

 

もちろん、理系的なことが好きだったから、
というのも理由の一つだった。

 

 

だけど、本心を言えば、

そんなに大変じゃなさそうだし、
教員も厳しくなさそうだし、
なにかあっても簡単に辞められそう

という甘い考えが大きかったと思う。

 

 

ただ、その部活も結局は、
そんな不純な動機で入部したからか、

ある程度の区切りがついたら飽きてしまい、
その後は幽霊部員になってしまった。

 

 

また、退屈な日常に戻った。

 

 

家に帰ったらゲームをして、
それに飽きたら本を読んで、
たまに友人と遊びに行ったりしていた。

 

 

ものすごい達成感だとか、
とても嬉しいことはないけれど、

その分、ツライことも悲しいこともないような、
ぬるま湯みたいな生活を送っていた。

 

 

とにかく退屈だった。

 

 

一度きりの貴重な高校生活を
一日、また一日と無駄にしている…

たまに、そんな気持ちになった。

 

そんな日々に嫌気が差して、
「こんなことやってみたいな」と
思うことは何度かあった。

 

 

 

だけど、結局は全部やらずに終わった。

 

 

 

例えば、原付免許を取ろうとしたことがある。

 

大量に余ってる時間でバイトをして
そのお金で原付を買って
遠くまで行ったら楽しそうだと考えたのだ。

 

けど、時間が立つにつれて

「それってホントに楽しいのかな?」
「つまらなかったらどうしよう…」
「バイトするのめんどくせー」

となって何も行動せずに終わってしまった。

 

 

 

他にも、軽音部にでも入って、
バンドをやってみようかと考えたこともあった。

 

僕の実家には、使われてないギターがあって、
(たしかFenderのストラトキャスター)

それを暇なときに触っては練習していたので、
コードや簡単なフレーズは弾けた。

 

ただ、それも、

「人前に出るの恥ずかしいなー」
「失敗したらヤダなー」

なんて、まだ何もしてないのに、
ウダウダ考えて何もせずに終わってしまった。

 

 

 

とにかく、一事が万事、この調子だった。

 

 

何をしようとしても、
冷めた自分がどこかいて、

「そんなことしてどうなるの?」
「ホントに楽しいの?」
「失敗したらどうするの?」

とツッコミを入れてきた。

 

そして、そうなったら最後、
いつも何も行動せずに終わった。

 

 

頭の中で思いついては、
頭の中で全てが完結する…

そんな人間だった。

 

 

きっと、当時の僕は、
自分に自信がなかったんだと思う。

 

一歩前に踏み出す勇気がなかった。

 

 

 

ある日、体育の時間でこんなことがあった。

 

 

それはバスケットボールの授業で、
練習試合をしているときだった。

 

試合終了直前、あと一回シュートが決まれば、
僕らのチームが逆転勝利!という場面で、
ゴール前にいた僕にボールが回ってきた。

 

普通ならそのままシュートするものを、
僕はなぜか咄嗟に別の仲間へパスしてしまった。

 

そのまま時間切れになって、
僕らのチームが負けて終わった。

 

友達からは、その後
「なんでパスしたの?」と聞かれた。

 

 

でも、ただの体育の授業だったから、
それ以上は追求されたり
責められたりすることはなかった。

 

 

きっと他の人から見れば、
これは取るに足らないほどの
日常の出来事に過ぎないだろう。

 

だけど、僕は今でもこの出来事を
ふとした瞬間に思い出すことがある。

 

 

それはきっと、この出来事が、
「自分の自信のなさ」を
よく表しているからだと思う。

 

 

当時の僕は、とにかく自信がなかった。

 

 

自分の意見が言えなかった。

 

失敗して人から非難されるのが怖かった。

 

一歩踏み出す勇気がなかった。

 

 

だからこそ、なんでもない
体育の授業でシュートを打てずに
誰かにボールをパスした。

 

だからこそ、何もせずに
毎日を家でダラダラと過ごしていた。

 

だからこそ、何か思いついても
「そんなことしてどうなるの?」なんて、
つまらないツッコミを入れて、

行動しない自分を正当化していた。

 

 

 

でも、そんな自分が変わった。

 

 

 

大学受験を通して大きく変わった。

 

 

 

研究発表で大勢の人の前で話したり、
教授や先輩に自分の意見を述べたり、

こうやってブログやメルマガで情報発信したり、
集まってきてくれた人を指導したり…

 

きっと当時の僕からすれば、
絶対に考えられないことだったろう。

 

でも、実際そうなったのだから、
人はきっかけさえあれば、
案外簡単に変われるのかもしれない。

 

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