衝撃を受けた合格体験記

これは、平凡な学生だった僕が、
E判定から京大に合格するまでの経緯を
ストーリー調に振り返ったものです。

 

第3話「衝撃を受けた合格体験記」

 

高3になって、進路調査の日が近づいてきた。

それに伴ってホームルームの時間に、
進路希望調査票の紙が配られた。

 

・進学するか
・その他の進路か(就職するなど)
という選択肢が並んでいて、

進学する場合は、

・第一希望「 」大学
・第二希望「 」大学

というふうに大学名を書き込む必要があった。

 

とりあえず、もらったその場で名前を書いて、
「進学する」にチェックを入れて…

 

そこで手がピタリと止まった。

 

大学名なんて全く思い浮かばない。

「行きたい大学」なんて、
人生の中で一度も考えたことがなかった。

 

僕の両親も大学とは無縁の人だったので、
家族の会話でも「行きたい大学」なんて
話題が出ることは一度もなかった。

だから、僕が大学名なんて
一つも思い浮かばないのも当然だった。

 

…まあ、「一つも」というと嘘になるのだけど。

 

というのも、正確には、
「東大」と「京大」だけは知っていたからだ。

テレビ番組では「東大 VS. 京大」なんて
企画がよく放送されていたので、
なんとなくその二つだけは知っていた。

 

ただ、頭の中の選択肢から自動的に消していた。

自分とは別世界の話だと思っていたから。

 

テレビ番組の中でしか見たことないけれど、
実際、彼らは相当に頭が良さそうだった。

難しいクイズに正解するだけではなく、
問題文を聞き終わる前に回答してたりするし…

司会の人からは学校名だけでも
「すごいなー」なんて賞賛されてるし。

 

テレビでそんなに褒められてる人を
見たことがなかったように思う。

政治家ですら、散々叩かれてるくらいだ。

 

しかも聞くところによると、
なんか政治家を動かしている官僚という
偉い人たちがいるらしくて、

官僚になるためには、
東大とか京大を卒業してなきゃいけないとか、
どこかの誰かさんが言っていたような…。

 

じゃあ、政治家よりも、
東大生のほうが期待されてるのかな?

…というかんじで何も知らなかった僕は、
きっとそんなことを考えていたと思う。

 

だから、当時の僕にとって、

東大とか京大に行くような人は、
特別な家庭に生まれて、
小さい頃から英才教育を受けてるんだ

という勝手なイメージを持っていた。

 

まるで僕とは別の人種であるかのような、
そんな印象を持っていた。

だから、選択肢から勝手に除外していた。

 

 

それで、ホームルーム中に話を戻すと、

希望大学名の空欄を埋められそうになくて、
困ったなーなんて考えていた。

 

すると、もうひとつ冊子が配られた。

 

いま振り返ってみても、
その冊子が配布されなかったら、
現在の僕はいなかったんじゃないかと思う。

 

それは、進学資料をまとめた冊子だった。

もっと正確に言えば、その冊子の巻末にある、
”合格体験記”に僕は大きな衝撃を与えられたのだ。

 

その合格体験記は、

受験を終えたばかりの一年上の先輩が、
後輩である僕たちへメッセージを送る

…という形式で書かれたものだった。

 

有志の人が書いただけあってか、
熱のこもったメッセージが多かったように思う。

中には、不合格になってしまった人が、
自分の反省として書いた体験記もあった。

それがそのまま掲載されていて、
少し変わっているけど面白かった。

 

 

僕は、家に帰ってから、
その冊子にゆっくり目を通してみた。

数字や表が並んでるページは、
読もうという気持ちになれなかった。

それで、とっつきやすい合格体験記の部分を
なんとなく自然に読み始めていた。

 

京都大学に合格してる人の話が
そこに2件ほど載っていたと思う。

それだけでも、十分びっくりした。

確か、現役で合格した人と、
自宅浪人で合格した人だったはず。

 

気になるので、続きを読んでみた。

「…なんだこれ!?」

読み進めるうちに、胸が高鳴っていった。

 

 

彼らの話によると、

東大や京大を受験するからといって、
特別な知識を身につける必要はないらしい。

 

入試を突破するためには、
教科書の内容が理解できれば十分で、

あとはその知識を応用する練習をすれば、
どんな難関大学も合格できるそうだ。

 

これを読んで、僕は、
自分の頭のなかにある固定観念が
粉々に打ち砕かれていくのを感じた。

 

 

特別な家庭に生まれて、
小さい頃から特別な英才教育を受けた
いわゆるエリートと呼ばれるような人間。

僕は、そんな人しか難関大学には
合格できないものだとばかり思っていた。

 

でも、よくよく考えてみれば、
一部の人が不利になるような入学試験を
国立大学が実施するとは考えにくい。

 

特別な環境にいる人しか
答えられないような出題をすれば、

それこそ世間から批判されるだろうし、
大学側もそんな学生だけを採るはずがない。

 

だからこそ、誰にでも平等に配布されている
教科書から問題が出題される…。

 

このことが、ものすごく腹に落ちた。

きっと、同じ内容を別の人から話されても、
当時の僕は信じなかったと思う。

 

でも、この体験記を書いているのは、
ぼくと同じ学校から合格した人なのだ。

だからこそ、とても説得力があった。

 

さらに言えば、そのときの、
受験への関心が高まった時点じゃければ、
聞き流していたんじゃないか、とも思う。

実際、高1・高2の時点で配られた進学資料に、
僕は目を通した記憶がなかった。

 

 

常識を破壊するメッセージ

同じ学校から合格したという説得力

受験の関心が高まっていたタイミング

 

この全てが重なって、
僕にものすごい衝撃が走った。

頭の中が目まぐるしく回転した。

 

学校の授業には、ついていけてた。

教科書の内容なら理解できる自信があった。

 

「自分も京大に行けるんじゃ…」

その考えが頭から離れなくなった。

 

もちろん、東大という可能性もあったけど、
自宅からの距離を考えて京大になった。

 

 

その瞬間から、平凡な学生の頭の中に
「京大合格」の4文字が張り付いて
離れなくなってしまった。

その日は、今後の自分への妄想が止まらず、
興奮してなかなか寝付けなかった。

 

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