世の中の間違った常識

これは、平凡な学生だった僕が、
E判定から京大に合格するまでの経緯を
ストーリー調に振り返ったものです。

 

第6話「世の中の間違った常識」

 

京大に合格するための作戦みたいなものが、
自分の中でおおよそ固まった。

それからは学校が終わった後、
家にまっすぐ帰って自習する日々が続いた。

 

わからないことが出てきたときは、
放課後に職員室まで行って、
理解できるまで先生に質問しまくった。

 

今までは先生に対する見栄がジャマして、
「まあ、いいか」で済ませることもあった。

同級生に対する見栄もあった。

質問してる姿を見られて、
「あいつ必死だな」
なんて思われるのが嫌だった。

(そんなこと思ったりしないだろうけど…)

 

ただ、試験本番まで猶予は1年もないのだ。

となると、なりふりを構ってはいられない。

 

 

でも、そんな中で意外な発見があった。

 

それは、こちらが質問すれば、
ほぼ全員が喜んで教えてくれるということだ。

迷惑じゃないか心配することもあった。

でも、みんな期待していた以上に、
時間を掛けて丁寧に答えてくれるのである。

 

時期は前後するのだけれど、

あるときは二次試験の英作文を
英語の先生に添削してもらうことがあった。

 

その先生には、普段の授業の準備など、
他にもたくさん仕事があったに違いない。

それでも嫌な顔ひとつせずに、
快く引き受けてくれた。

 

もちろん、教師だから教えるのが好きだ、
と言えるのかもしれない。

ただ、大学生になってからも、
同じようなことを何度か経験した。

 

一度、会社経営者の方と出会ったことがある。

その人は、学生である僕に、
どうやって会社を軌道に乗せたか?や、
人生で成功するコツを丁寧に教えてくれた。

そういう学校の外の人たちでも、
意外なほど親切に時間を取ってくれた。

 

「成功する人は、自分がうまく行った方法を
他人に簡単には教えたりしない」

「誰かに教えると、
自分たちが成功できなくなってしまうから」

 

きっと世間の常識で言えば、
そういった考え方は正しいのだろう。

でも、僕の経験で言えば、逆だと思う。

成功する人ほど、簡単に教えてくれるのだ。

 

むしろ、僕たちの方に、
そんな勝手な思い込みがあるだけにすぎない。

きちんと質問すれば、
ちゃんと答えが返ってくるものなのだ。

(一方的に迷惑をかけるのは、もちろんダメなことだけど… )

 

話を戻すと、そのことに気づいた僕は、
それから積極的に質問をするように心がけた。

 

 

梅雨が近づく頃には、文化祭が始まった。

受験生とはいえ、行事の準備があるから大変だった。

 

自分のクラスは演劇をやった。

行事に熱心なタイプではなかったので、
自分は裏方として必要最低限のことだけやった。

その後は、家に帰って
自分の勉強をしていたような気がする。

 

最後の文化祭ということで、
夜遅くまで練習する人もたくさんいた。

誰に咎められることじゃないけれど、
同級生にはなんとなく申し訳ない気持ちがした。

 

 

梅雨があけてからは、水泳の授業が始まった。

 

50分間の授業のうち、準備体操の後は、
クロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライと
ひたすら泳がされ続けた。

終わった頃には、いつもクタクタになっていた。

そのため、睡魔に襲われて、
水泳の後は授業どころじゃなかったように思う。

 

一学期は時間割の並び上、
その次に化学か物理が来ることが多かった。

プール後の睡魔のせいで、
授業が分からなくなることも多々あった。

 

そして、化学・物理の後は、
決まって国語(現代文・古典)があった。

前の授業でしっかり休息した分、
国語の授業はかなり集中して聞いていた。

ぼくは比較的、国語の成績がよかったのだけど、
それはプールの影響があるのかもしれない…。

 

ただ工学部の試験では、
理科の配点が高く、国語の配点が低いから、
かなりもったいないことをしたように思う。

 

 

塾・予備校の話をして以来、
友人のAとは更に仲良くなっていった。

特に、帰りの電車が同じだったので、
ほぼ毎日一緒に帰って受験勉強の話をした。

 

Aは、背が高く体型もガッチリしていて、
一見するとスポーツ選手のような雰囲気をしている。

ただ、実際は運動が苦手らしく、
見た目と内面でかなりギャップがあった。

 

Aは独特な感性の持ち主で、
話せば話すほど面白いやつだった。

”ジョジョ”という漫画や、
”電気グルーヴ”というバンド?が好きで、
彼はよくその話をしていた。

 

ジョジョは後で読んでみると、確かに面白かった。

今では、僕の好きなマンガの一つだ。

ただ、電気グルーヴについては、未だに詳しく知らない。

 

そして、勉強についてだけれど、
彼は僕よりもよく出来て、
かなり頭のいいタイプだったと思う。

 

Aは何も知らなかった自分に、
受験についていろいろと教えてくれた。

Aには、2つほど上の大学生の姉がいるらしく、
それもあってか受験のことをよく知っていた。

 

今では、スマホからネットに接続すれば、
いろんな情報に触れることができる。

 

ただ、僕が高校生のときは、
ガラケーが主流で、

スマホを持ってる人なんて
クラスでも1割くらいしかいなかった。

 

正確には、ガラケーからもネットに接続できた。

でも、それにはiモードという
通信料が高めのサービスを使う必要があった。

 

というわけで、
ネットで情報を得ることもできない、
身内にも受験したことのある人がいない。

そんな僕にとって、Aの存在はとてもありがたかった。

 

 

あるときは、Aからオープンキャンパスに
誘ってもらうことがあった。

オープンキャンパスとは、
要するに学校見学のことらしい。

 

確かに「京大合格」なんて目標を掲げておいて、
学校見学にも行かないのはおかしな話だ。

僕は、二つ返事で彼について行くことにした。

 

 

また、あるときは、
京大模試について教えてもらった。

もちろん、高校受験があったから、
模試の存在は知っていた。

 

でも、京大の2次試験に
特化した模試があるとは知らなかった。

「それは受けなきゃ損だ」ということで、
予備校まで行って、自分も一緒に申し込んだ。

 

 

申込みをしている間、ぼくは、
「なんだか本格的に受験生らしくなってきたな」と思った。

もしかすると、自分が憧れていた青春とは、
こういうものだったのかもしれない。

 

それを思えば、日々の勉強は面倒だけど、
毎日が充実していて案外楽しいのかも…。

そんなことを考えていた。

 

ただ、この後すぐに、
残酷な現実を突きつけられることになるとは…

このときはまだ思いもしなかった。

 

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