いざ二次試験へ

これは、平凡な学生だった僕が、
E判定から京大に合格するまでの経緯を
ストーリー調に振り返ったものです。

 

第10話「いざ二次試験へ」

 

2月も終わりが近づく頃、
ついに二次試験本番がやってきた。

ぼくは宿泊施設を予約していたので、
前日から移動して京都へ向かった。

 

センター試験では、かなり緊張した。

それに比べると、二次試験は、
かなり落ち着いた気持ちで迎えられたと思う。

あるいは、正確には、
緊張の糸が切れてしまったのかもしれない。

 

 

 

振り返ってみれば、センター試験は、
クラスの大半の人に関わりのあるものだった。

 

12月を少し過ぎた頃になると、
いつも授業で使うものとは反対側の黒板に、

「センター試験まで40日!」

と大きく書いて、
みんなでカウントダウンするようになった。

 

その日数が減るにつれて、
休み時間中でも勉強する人が増えていった。

そうじゃない人たちも、
ほぼセンター試験の話題しか出なくなった。

学校でも、履修範囲を最後まで終えた科目は、
センター対策の授業になった。

 

そんなわけで、僕としても、
センター試験ではかなり緊張した。

 

「足切りで、受験すらできなかったら最悪だ」

 

そんな恐怖が常に頭の中にあった。

でも逆に言えば、恐怖が大きいだけに、
勉強にもしっかり集中できたと言える。

 

そのかいあってか、本番では、
かなり良い点数を取ることが出来た。

足切りも、全く関係ないくらいだった。

 

 

ただ、問題はそこからだった。

無事に出願を終えて、受験が決まってから、
なんとなく安心してしまったのだ。

 

京大側の発表によると、
二次試験の倍率は3.5倍あたりだったと思う。

京大志望者の人数も
模試の回数を経るごとに、
どんどん少なくなっていった。

 

ぼくも、夏の時点では挫折しかけた。

でも、ほんの少しのきっかけで、
なんとか諦めずに戻ってくることができたのだ。

 

それを考えると、

「自分はよくここまでたどり着けたなあ…」

という、しみじみとした気持ちになった。

 

 

でも、本番は”ここから”なのだ。

 

いくらセンターの結果が良くても、
二次試験で点数が取れなければ、
不合格は避けられない。

むしろ、センター試験が多少悪くたって、
二次試験さえ点数がよければ挽回できる。

 

だから、センター試験が終わってからの、
約1ヶ月間こそ本気で勉強するべきだったのだ。

…ただ、自分の場合は、
センターのときの緊張感が戻ってこなかった。

 

二次試験対策のために、
京大の25カ年シリーズも買ったのだけれど、

7年分の過去問を消化するだけで、
25カ年は、ほとんど手付かずのままだった。

 

 

 

そんなわけで、準備に若干の不安を残したまま、
とうとう本番を迎えることになってしまった。

 

「準備万端です!」なんて
自信満々に言える受験生はいないはず…

京大に向かうまでの電車の中で、
僕は、そんなことを自分に言い聞かせていたと思う。

 

 

そうするうちに、たどり着いた二度目の京大。

翌日になって迷うことがないように、
前日は試験会場の確認をした。

 

試験前日だけど、大学構内には、
頭の良さそうな受験生がたくさんいた。

きっと僕と同じ、会場の確認に来たのだろう。

 

前回、夏に来たときは、
彼らとのレベルの違いに圧倒された。

でも、今はもう何も感じなくなっていた。

 

 

 

その後は、祇園にあるホテルまで向かった。

ちなみに、祇園というのは、
京都市の東にある歓楽街のことだ。

 

舞妓さんが通る花見小路通りや、
歌舞伎の劇場である南座があって、
年中観光客で溢れかえっている。

みんなが「京都」という単語を聞いて
連想するものが、全て詰まったような場所だ。

 

 

僕が泊まったのは、
京阪の祇園四条駅近くにあるホテルだった。

 

八坂神社という大きな神社が近くにあった。

どれくらい大きいかというと、
初詣の参拝者数が100万人もいて、
これは京都で2番目に多いらしい。

(京都1位は、千本鳥居で有名な伏見稲荷)

いつ来ても、入り口のところで
たくさんの観光客が記念撮影してるくらいだ。

 

そのとき僕は、

「せっかくだし、観光にでも行こうかな」

と思ったけれど、
人があまりに多そうだったからヤメた。

 

ちなみに、京大の横には、
吉田神社という由緒正しい神社があるのだけど、

受験生が、試験前日にそこでお参りすると、
なぜか不合格になってしまう…

というジンクスがある。

 

あくまでジンクスだから、
何の信憑性もないし、気にする必要はないけど、
そういうのに敏感な人は注意してほしい。

 

 

ホテルについてから、
一度、近くのローソンに寄った。

翌日の飲み物と眠気覚ましを
買うためだったのだけど、
店の外観を見てビックリした。

 

例の青と白の配色じゃなくて、
白・黒・茶?の京都カラーになっているのだ。

これは、京都の景観を損なわないために、
外観のデザインを変更しているらしい。

 

 

 

夜は、どんな店があるのか知らなかったので、
ホテル近くの”うどん屋”で夕食を取った。

 

そこの店主のおじさんが、よく喋る人だった。

 

「にいちゃんも受験生か?」
「今日は多いねん。他にも7人くらい来たわ~」
「落ちたら、おじちゃんがうどん奢ったるで^^」
「この前は失恋した子が来てな……」

 

他のお客さんが出ていった後は、
そんなふうに、僕が食べ終わるまで、
ほぼエンドレスで話しかけられた。

 

もしかすると、僕が険しい顔をしていたから、
励まそうとしてくれたのかもしれない。

(あるいは、ただの話し好きだったのか…)

 

 

部屋に戻った後は、少し勉強しようか迷った。

でも、頭が冴えてしまって、
眠れなくなるかもしれないのでやめた。

 

「使うかもしれない」と思って、
カバン一杯に詰めた25カ年シリーズは、
ただの重りになってしまった。

 

 

 

そして、試験当日…。

 

僕が試験を受けたのは、
学校の教室くらいの狭めの会場だった。

人によっては、大講義室といって、
100~200人が入れるような教室で
試験を受けるらしかった。

 

試験では、やれるだけのことはやった。

終わった瞬間の手応えとしては、
「たぶん合格したんじゃないかな…?」
というかんじだった。

 

解けない問題も、もちろんあった。

でも、取れる範囲を手堅く解いたつもりだ。

 

予備校の模試では、
1日で全科目を終わらせるから、
体力的に相当キツイものがあった。

ただ、実際の試験は2日間あって、
午前と午後の1教科ずつの試験になっている。

だから、模試とは違って、
自分の実力を出し切れたと思う。

 

 

帰りの電車は、友人のAと合流して一緒に帰った。

 

そこで、Aから面白い話を聞いた。

Aと同じ試験会場に、
英字プリントの上着を着た人がいたらしい。

 

試験本番では、カンニング防止のため、
文字がプリントされたものは
基本的に持ち込みを禁止されている。

 

そこで、試験監督が
上着を脱ぐように注意したところ、

なんとその人は、上着の中にも
英字プリントの服を着ていたそうだ。

 

結局、彼は、試験監督から
ガムテープで上半身をぐるぐる巻きにされ、
そのまま試験に臨んだらしい。

 

 

僕はその話を聞きながら、

「京大に限っていえば、
そういう変わった人が受かりそうだな」

なんて思った。

 

 

 

とにかく、全てが終わった。

 

この一年間、ずっと、
京大に合格することだけを考えて勉強してきた。

 

それが、いまようやく終わった。

 

合否がどうであれ、
自分は最後まで走りきったのだ。

 

この後は、不合格になったときに備えて、
後期試験の勉強もしなくちゃいけない。

だけど、しばらくはゆっくり休みたいな…。

そんな気持ちになった。

 

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